遠隔手術 远程手术
心臓手術で長い経験を持つ、ある外科医の話である。手術の成功率は99・5%というから、大変な名医であろう。しかし彼は、「残り0・5%の亡くなった患者さんのことは忘れられない」と話す
一位有多年心脏手术经验的外科医生,他的手术成功率达到99.5%,可以说是厉害的名医了吧,但他却说:“剩下0.5%的在手术中死去的患者,我忘不了。”
彼の机のガラス板の下には紙があり、命を落とした患者全員の名前と、その原因についてのメモが記されている。いつでも見えるようにしてあるのだという。インタビューをした木村俊介さんの著書『仕事の話』に出てくる
他桌子的玻璃板下有一张纸,上面写着死去患者所有人的姓名和死因。他说压在那里是为了让自己任何时候都能看到。——这来自采访过这位医生的木村俊介先生的著书《工作的故事》。
たしかな腕を持ち、患者と真摯(しんし)に向き合う医師。たとえ彼らが遠くにいても、通信とロボットを使って手術を受けられる。そんな時代が近いのだろうか。遠隔手術を数年以内に始められるよう、日本外科学会が動き出したと先日の本紙にあった
技术好、对待患者认真的医生,即便人在很远的地方,也能通过信息设备和机器人对患者动手术,那样的时代大概不远了吧。“为了在几年内实现远程手术,日本外科学会开始行动了“,出现在前几天的报纸上。
人間の手ではなくロボットアームによる手術は、すでに始まっている。将来は例えば、東京にいる医師が北海道の患者にメスを入れることなどが想定される。万が一手術中に通信が途絶えた場合、地元の医師にどう引き継ぐか。様々な対応策についての指針を作るという
不由人类的手,而由机械臂来实施的手术已经开始有了。可以想像,将来,比如人在东京的医生给北海道的病患动手术这样的情况。万一手术过程中信号中断时,当地的医生该如何继续进行手术呢?据说将会对这这些情况研究对策,制定方针。
通信の進歩が、少し前なら想像もできなかった世界を可能にする。しかし空間を隔てることで心配になることもある。医師同士のチームワークは大丈夫か。患部でなく人間として向き合ってくれるか。そもそも会ったことのない人に命を委ねるというのは、どういう感覚か
通信的进步,让之前连想象都无法想象的世界变成可能。但是还是会担忧空间上的间隔:医生间的团队合作没问题吗?医生们能认识到自己是在给人做手术,而不是患病的身体部位吗?患者把自己的生命委托给没见过面的人,又是怎样一种感觉呢?
いずれは国の垣根を越えた手術も可能になるかも、と想像してみる。そのとき医師と患者のつながりは、どう変わるのだろう。
想一下,如果跨越国境的手术也成为可能。那时,医患关系又将发生怎样的变化呢?
天声人语原文 2019年6月